宇宙誕生の少し前から宇宙終焉の少し先までを数で表す論文

この宇宙を数で表すことは出来るのか。

第3-13章 GPU / 専用計算機の発展


GRAPE-DR ― 専用計算機からASICへの進化

GRAPE-1の限界と次の必然

GRAPE-1は「計算をしない」という
極端な割り切りによって
天体計算を高速化しましたが、

  • 精度が8ビットに限定される
  • ROMサイズが指数的に増大する
  • 適用できる計算が限定される

という制約も同時に抱えていました。

より高精度で、
より汎用的な天体計算を行うためには、
演算そのものを回路として実装する
必要がありました。

GRAPE-DRにおけるASIC化

GRAPE-DRでは、
天体計算に必要な演算器を
専用ASICとして実装しました。

これは、

  • CPUの命令実行
  • FPUの逐次演算

を経由せず、
必要な計算だけを最短経路で行う
構成です。

世界一になった理由

GRAPE-DRは、
一般用途ではなく
天体計算に特化することで、

  • 消費電力あたり性能
  • 実効演算性能

において当時のスーパーコンピュータを上回り、
世界最高性能クラスを達成しました。

これは後に
「グリーン性能(電力効率)」という観点で
再評価されることになります。

CPUを置き換えたのではない

重要なのは、
GRAPE-DRはCPUを汎用的に置き換えた
わけではないという点です。

CPUは制御と汎用処理を担い、
GRAPE-DRは
最も重い計算部分だけを肩代わり
しました。

この役割分担は、

  • GPUアクセラレータ
  • FPGAアクセラレータ
  • AI向けNPU

へと受け継がれていく


現代的計算機構成の原型です。