- 第2章 GPU / 専用計算機の発展
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前:GRAPE-1誕生の背景
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GRAPE-DR ― 専用計算機からASICへの進化
▶ 次章:第3章 FPGAの仕組み
GRAPE-DR ― 専用計算機からASICへの進化
GRAPE-1の限界と次の必然
GRAPE-1は「計算をしない」という
極端な割り切りによって
天体計算を高速化しましたが、
- 精度が8ビットに限定される
- ROMサイズが指数的に増大する
- 適用できる計算が限定される
という制約も同時に抱えていました。
より高精度で、
より汎用的な天体計算を行うためには、
演算そのものを回路として実装する
必要がありました。
GRAPE-DRにおけるASIC化
GRAPE-DRでは、
天体計算に必要な演算器を
専用ASICとして実装しました。
これは、
- CPUの命令実行
- FPUの逐次演算
を経由せず、
必要な計算だけを最短経路で行う
構成です。
世界一になった理由
GRAPE-DRは、
一般用途ではなく
天体計算に特化することで、
- 消費電力あたり性能
- 実効演算性能
において当時のスーパーコンピュータを上回り、
世界最高性能クラスを達成しました。
これは後に
「グリーン性能(電力効率)」という観点で
再評価されることになります。
CPUを置き換えたのではない
重要なのは、
GRAPE-DRはCPUを汎用的に置き換えた
わけではないという点です。
CPUは制御と汎用処理を担い、
GRAPE-DRは
最も重い計算部分だけを肩代わり
しました。
この役割分担は、
- GPUアクセラレータ
- FPGAアクセラレータ
- AI向けNPU
へと受け継がれていく
現代的計算機構成の原型です。