- 第2章 GPU / 専用計算機の発展
章トップ(目次)
前:GRAPE-DR ― 専用計算機からASICへの進化
- 現在:
FPGAは「再構成可能なGRAPE」である
▶ 次章:第3章 FPGAの仕組み
FPGAは「再構成可能なGRAPE」である
ASICの強さと弱さ
GRAPE-DRは、
天体計算という用途に特化することで
圧倒的な性能と電力効率を実現しました。
しかしその一方で、
ASICには明確な弱点があります。
- 設計後に回路を変更できない
- 用途が変わると使えない
- 初期設計コストが高い
これは研究分野やアルゴリズムが
進化し続ける分野において、
致命的な制約となります。
「回路を書き換えられる」という発想
この制約を取り払う存在が
FPGA(Field Programmable Gate Array)
です。
FPGAは、
- 論理回路そのものを
- 後から
- 何度でも
書き換えることができます。
これは、
- GRAPE-DRの「計算回路」を
- ソフトウェアのように更新できる
ことを意味します。
FPGAはGRAPEの思想を一般化した存在
GRAPEが示した本質は、
「命令を実行するのではなく、
計算モデルそのものを回路にする」
という思想でした。
FPGAはこの思想を、
- 天体計算に限らず
- 任意のアルゴリズムに対して
- 低コストで試せる
形にしたものです。
CPU・GPU・FPGAの役割分担
ここで、
計算機の役割は次のように整理できます。
- CPU:
制御・分岐・汎用処理 - GPU:
大量データに対する同一命令の並列実行 - FPGA:
アルゴリズムそのものを回路化
FPGAはCPUを置き換えるのではなく、
CPUでは重すぎる処理を回路として肩代わり
します。
なぜFPGAは研究と実装をつなぐのか
FPGAは、
- 専用計算機の思想を
- 試作レベルで実現でき
- 失敗しても作り直せる
という点で、
GRAPE-1の精神を
最も色濃く受け継いでいます。
この意味でFPGAは、
「再構成可能なGRAPE」
「汎用化された専用計算機」
と位置づけることができます。